2026年10月11日著者: Yosuke Sakurai11分で読了

教科書の勉強法8ステップ|効率のいい覚え方と復習計画

教科書の勉強法を8ステップで解説。全体をつかむ下見、見出しの問い化、教科書を閉じて思い出す練習、暗記カードと間隔をあけた復習による覚え方まで。定期テストや資格試験に使える章ごとの勉強計画で、次の章から試してみましょう。

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教科書で勉強するときは、小説のように最初から最後まで読んだり、全部にマーカーを引いたりするのはやめましょう。効率のいい教科書の勉強法は、1章ずつ3つの段階で進めることです。読む前に、見出し・太字・まとめ・章末問題に数分で目を通します。読みながら、見出しを問いに変え、1節ずつその答えを探すように読みます。読んだあとは、節ごとに教科書を閉じて、答えを記憶から思い出します。最後に、思い出した内容を暗記カードや問題に変え、数週間かけて間隔をあけて復習します。読み返しやマーカー引きは勉強した気分になれますが、研究での評価は低く、自分をテストすることと間隔をあけた復習が高く評価されています。

この記事は、定期テストや大学受験に向けて勉強している中学生・高校生、大学生、看護・医療系の学生、そして分厚いテキストで資格試験の勉強をしている社会人に向けたガイドです。8つのステップ、科目別の進め方、毎回使える章ごとの勉強計画を紹介します。

この記事のポイント

  • 教科書を読むことと、教科書で勉強することは違う。 ある調査では大学生の84%が読み返しで勉強しており、自分をテストすることを一番の方法に挙げたのはわずか1%でした。
  • まず全体を見て、問いを持って読む。 見出しを問いに変えると、各節を読む目的がはっきりします。
  • 1節読んだら教科書を閉じる。 有名な実験では、思い出す練習をした学生は1週間後に文章の61%を覚えていましたが、読み返しただけの学生は40%でした。
  • 節ごとに暗記カードや問題を作り、 テスト前日の読み返しではなく、間隔をあけて復習します。
  • 数学・理科は問題演習が中心。 前の章の問題も混ぜて解くと、1週間後の成績が大きく変わります。

目次

教科書を読むだけでは勉強にならない理由

多くの学生は、教科書を読み、大事そうな所にマーカーを引き、テスト前にもう一度読み返して勉強します。ジェフリー・カーピック、アンドリュー・バトラー、ヘンリー・ローディガーが大学生177人を対象に行った調査(opens in a new tab)(英語、学術誌『Memory』、2009年)では、84%が勉強法として「読み返し」を挙げ、55%がそれを一番よく使う方法だと答えました。思い出す練習を一番に挙げたのは、177人中わずか2人(約1%)でした。

読み返しで身につくのは、主に「見覚え」です。2回目に読むと、どの文にも見覚えがあるので、分かったつもりになります。しかしテストでは教科書は見られません。何もない状態から答えを書く必要があります。

2013年には、ジョン・ダンロスキーら5人の研究者が10種類の学習法を評価し、読み返しとマーカー引きを「有用性が低い」と判定(opens in a new tab)(英語)しました。「有用性が高い」とされたのは、練習テストと分散学習(間隔をあけた学習)の2つだけです。論文では「読み返しの代わりに練習テストを」と勧めています。これから紹介する8ステップは、この2つを土台にしています。

教科書の勉強法8ステップ

1章、または内容の濃い章なら10〜20ページずつ、この手順で進めます。ステップ1〜4は最初の勉強時間に行い、ステップ5〜8でその内容を長期記憶に定着させます。

1. 章全体をざっと見る

本文を読む前に、章のタイトル、導入文、見出し、太字の用語、図表、まとめ、章末問題に目を通します。教科書の勉強法として有名なSQ3R法を考案した、米オハイオ州立大学の心理学者フランシス・P・ロビンソンは、著書『Effective Study』(Harper & Brothers、1946年)で、この下見は「1分以上かけるべきではない」(opens in a new tab)(英語)と書き、章の柱となる「3〜6個の中心的な考え」が見えてくると説明しています。

今の教科書なら、2〜5分の下見で十分です。特に章末問題や「確認問題」はしっかり読みましょう。著者が「ここが大事」と考えている内容のリストだからです。

2. 見出しを問いに変える

各節を読む前に、見出しを問いの形に書き換えます。たとえば「鎌倉幕府の成立」なら「鎌倉幕府はどのように成立し、なぜ武士の政権が生まれたのか?」、「光合成」なら「光合成はどこで、何を使って、何をつくるのか?」となります。

読む前に答えようとするだけでも効果があります。リンジー・リッチランドらの2009年の研究では、5つの実験で学生に視覚に関する文章を読ませました。読む前に内容についての問題に答えようとした学生は、その分長く文章を読んだ学生よりよく学べました(opens in a new tab)(英語)。しかも、事前の問題で答えられなかった項目でも効果がありました。

3. 1節ずつ読む

最初の見出しの節の終わりまでだけ、問いの答えを探しながら読みます。定義、図、例題はゆっくり読み、コラムや余談はさっと読んで構いません。この時点ではまだマーカーを引かないでおきましょう。

4. 教科書を閉じて思い出す

1節読み終えたら、教科書を閉じるか目をそらして、問いの答えを記憶から言うか、短く書き出します。ロビンソンも「本から目をそらし、問いの答えを簡単に暗唱してみる」ように書いています。出てこなければもう一度その節に目を通し、再挑戦しましょう。

最も効果が大きいのがこのステップです。ヘンリー・ローディガーとジェフリー・カーピックの2006年の研究(opens in a new tab)(英語)では、文章を1回読んだあと3回思い出す練習をした学生は、1週間後に文章の61%を覚えていました。4回読んだ学生は40%で、平均14.2回も読んでいたのに対し、思い出すグループは3.4回でした。思い出す練習のほかのやり方はアクティブリコールのガイドで紹介しています。

5. 節ごとに暗記カードや問題を作る

思い出す練習のあと、その節から暗記カードや問題を3〜8個作ります。思い出せなかった所、あやうかった所を優先しましょう。1枚に1つの事柄に絞り、表は問いの形にします。「承久の乱」とだけ書いたカードより、「承久の乱のあと、朝廷を監視するために京都に置かれた機関は?」のほうが思い出す練習になります。カードの書き方はフラッシュカードの作り方で詳しく解説しています。

カード作りに時間がかかるなら、教科書のページを写真に撮り、Deckbaseの無料ツール画像からフラッシュカードに入れてみてください。登録不要でカードの下書きができます。PDFの教科書ならPDFからフラッシュカードを使いましょう。どちらの場合も、学習を始める前に下書きを自分で手直ししてください。紙の教科書なら、iPhone・Android版Deckbaseアプリのカメラスキャンで、スキャンしたページを同じデッキにカードとして追加していけます。

6. 問題演習をする

数学、物理、化学、簿記などでは、問題を解くことそのものが勉強です。例題の解答を隠して自分で解いてから、解答を確認しましょう。そのあと、教科書を見ずに章末問題や問題集を解きます。

同じ節の問題ばかりを続けて解くのは避けましょう。教科書の問題は直前に習った内容に対応しているので、どの解き方を使えばいいかが最初から分かってしまいます。ダグ・ローラーとケリー・テイラーの研究(『Instructional Science』、2007年(opens in a new tab)、英語)では、大学生が4種類の立体の体積の求め方を学びました。種類を混ぜて練習した学生は、練習中の正答率が60%と、種類ごとにまとめて練習した学生(89%)より低かったものの、1週間後のテストでは63%対20%と大きく上回りました。毎回、前の章の問題もいくつか混ぜて解きましょう。

7. 間隔をあけて復習する

テスト前日に教科書を読み返す代わりに、作ったカードや問題を、数日〜数週間に分けて短時間ずつ復習します。ニコラス・セペダらが2006年に『Psychological Bulletin』で発表したメタ分析(opens in a new tab)(英語)は、317件の実験に含まれる839件の評価結果をまとめ、間隔をあけた学習が一度にまとめた学習に勝ること、そして最適な間隔は「どれくらい先まで覚えておきたいか」が長いほど広がることを示しました。

まずは、翌日、約3日後、約1週間後、2〜3週間後に復習するところから始めましょう。思い出せなかったカードは次の間隔を短く、楽に答えられたカードは長くします。カードが数十枚を超えたら、復習のタイミングは間隔反復アプリに任せるのがおすすめです。

8. 章の内容を自分の言葉で説明する

カードが楽に答えられるようになったら、何も見ずに、章の要点を友達に教えるつもりで声に出して説明します。言葉に詰まった所や、教科書の言い回しをそのまま暗唱してしまう所が、理解の抜けです。抜けはカードに追加しましょう。これはファインマンテクニックと呼ばれる方法で、論述問題や「なぜ」を問う問題の対策に特に役立ちます。

教科書にマーカーを引くべきか

マーカーを引くこと自体が悪いわけではありません。問題は、マーカーを引くことを勉強だと思ってしまうことです。ダンロスキーらのレビューでマーカー引きの評価が低かったのは、線を引いても記憶から思い出す練習にはならないからです。気づけばページ全体が黄色、ということもよくあります。

マーカーを使うなら、1節を思い出す練習をしたあとに、思い出せなかった所だけに引きましょう。そうすればマーカーは「自分の抜けの地図」になり、そこがそのまま暗記カードにすべき内容になります。1段落に短い語句1つで十分です。

SQ3R法と今どきの改良点

ここまでの8ステップは、教科書の勉強法として最も有名なSQ3R法を、今の研究に合わせて改良したものです。ロビンソンの『Effective Study』は、1941年の著書『Diagnostic and Remedial Techniques for Effective Study』の改訂版で、次の5つのステップを示しました。

Survey(概観)

ロビンソンの説明
見出しにざっと目を通し、中心的な考えをつかむ
今加えたいこと
章末問題を先に読む

Question(質問)

ロビンソンの説明
見出しを問いに変える
今加えたいこと
読む前に答えてみる

Read(読む)

ロビンソンの説明
節の終わりまで、問いの答えを探して読む
今加えたいこと
マーカーはあとで、思い出せなかった所だけ

Recite(暗唱)

ロビンソンの説明
本から目をそらして答えを暗唱し、短いメモを取る
今加えたいこと
思い出せなかった所をカードにする

Review(復習)

ロビンソンの説明
最後まで読んだら、要点を思い出して確認する
今加えたいこと
1回で終わらせず、数日〜数週間かけて繰り返す

SQ3R法に足りないのは間隔です。SQ3RのReviewは、読み終えた直後に1回行うだけです。今の研究では、その後の数週間にわたって何度も思い出すことが勧められています。それを補うのがステップ5と7です。

科目別の教科書の勉強法

8ステップはどの科目にも使えますが、時間をかけるべき所は科目によって変わります。

日本史・世界史

時間をかける所
問いづくり、流れの説明
具体例
1つの時代の流れを、年号つきで3分で説明する

生物・地学・看護

時間をかける所
暗記カード、図のラベル
具体例
図の名称を隠して、構造の名前を言う

数学・物理・化学

時間をかける所
例題と問題演習
具体例
解答を隠して例題を解き直す

英語の教科書

時間をかける所
英単語カード、本文の例文
具体例
日本語訳を見て、カードをめくる前に英単語や英文を言う

政治・経済、公共

時間をかける所
用語カード、因果の説明
具体例
太字の用語を、教科書を見ずに自分の言葉で説明する

簿記・宅建・FPなどの資格試験

時間をかける所
過去問、章末の確認問題
具体例
テキストを読む前に、その章の過去問を解いてみる

章ごとに使える教科書の勉強計画

毎章、このチェックリストを使いましょう。目安として、高校の教科書の1章(20〜30ページ)や資格試験テキストの1章なら、初回は2〜3時間を2〜3回に分けて進め、その後の復習は1回10〜20分です。

読む前

  • タイトル、見出し、太字、図表、まとめに目を通す(2〜5分)。
  • 章末問題を読む。
  • 見出しごとに問いを1つ書く。

読みながら

  • 1節ずつ、問いの答えを探しながら読む。
  • 節の終わりで教科書を閉じ、答えを思い出す。
  • 思い出せなかった所だけに印をつける。

読んだあと

  • 1節につき3〜8個の暗記カードや問題を作る。
  • 教科書を見ずに章末問題を解く。
  • 章の要点を3〜5分で声に出して説明する。

復習スケジュール

当日

やること
初回:下見、1節ずつ読む、思い出す、カードを作る
時間
2〜3時間

翌日

やること
すべてのカードを復習し、間違えた問題を解き直す
時間
15〜20分

3日後

やること
復習日のカード、章の内容を声に出して説明
時間
10〜15分

1週間後

やること
復習日のカード、前の章の問題も混ぜて解く
時間
15〜20分

3週間後

やること
復習日のカード、章末問題を何も見ずに解く
時間
15分

テスト1週間前

やること
全範囲の模擬テストや過去問を解き、間違いをカードにする
時間
1〜2時間

次の章に進んでも、前の章の復習はスケジュールどおり続けます。そうすれば、定期テストや本番の直前には、教科書を読み返すのではなく、範囲全体を思い出す練習ができている状態になります。

教科書の勉強でよくある失敗

  • 章を全部読んでから自分をテストする。 読み終える頃には最初の節を忘れています。1節ごとに思い出しましょう。
  • 読みながらマーカーを引く。 「大事そうな所」に引くことになり、「思い出せない所」には引けません。
  • 教科書をノートに丸写しする。 時間がかかるうえ、受け身の作業です。問いと短い答えを書きましょう。
  • 図表や章末問題を飛ばす。 テストに出る内容が詰まっていることが多い部分です。
  • 例題を読むだけで解かない。 解答を目で追うのは、自分で解くよりずっと簡単です。
  • テスト前日に読み返すだけ。 復習した気分になりますが、1週間かけた短い思い出す練習のほうが記憶はずっと残ります。

よくある質問

教科書の内容を効率よく覚えるにはどうすればいいですか?

読み返すより、自分をテストしましょう。1節読んだら教科書を閉じて要点を思い出し、思い出せなかった所を暗記カードや問題にします。それを翌日、数日後、1週間後に復習します。このように間隔をあけて思い出す練習を繰り返すことが、教科書の内容を長期記憶に移す一番の近道です。

教科書は何回読めばいいですか?

読む回数より、思い出す回数を増やすことが大切です。ローディガーとカーピックの研究では、平均14.2回読んだ学生より、3.4回しか読まずに思い出す練習をした学生のほうが、1週間後によく覚えていました。理解のために1回しっかり読み、あとは思い出す練習に時間を使いましょう。

まとめノートは作ったほうがいいですか?

時間をかけてきれいにまとめる必要はありません。ロビンソンのSQ3R法でも、教科書を写すのではなく、思い出したことを短い手がかりとして書き留めるよう勧めています。おすすめは「問い」と「短い答え」の形で書くことです。そのまま暗記カードとして使え、あとで自分をテストできます。

SQ3R法は今でも効果がありますか?

SQ3R法の中心である「全体を見る」「問いを立てる」「何も見ずに暗唱する」は、今の学習研究とも一致しています。弱点は、復習が読み終えた直後の1回だけなことです。SQ3R法はそのまま使い、暗記カードや問題を加えて、数週間にわたって何度か復習するようにしましょう。

定期テストまで時間がないときはどうすればいいですか?

まず章末問題や教科書準拠の問題集を、教科書を見ずに解いてみましょう。解けなかった問題に対応する節だけを読み、読んだらすぐ教科書を閉じて思い出します。全部を読み返すより、解けない所に時間を集中させるほうが効率的です。間違えた問題はカードにして、テスト当日の朝にも確認しましょう。

次の章から始めよう

教科書の勉強法をまとめると、まず章全体をざっと見て、問いを持って1節ずつ読み、節ごとに教科書を閉じて思い出し、学んだことを暗記カードや問題に変えて数週間かけて復習することです。読み返しやマーカー引きは勉強した気分になれますが、教科書の内容を記憶に残すのは、思い出す練習と間隔をあけた復習です。

次の3ステップで始めましょう。

  1. 今日: 次に勉強する章を選び、5分で下見をして、見出しごとに問いを書く。
  2. 今週: 1節ずつ読んで毎回思い出し、1節につき3〜8枚のカードを作る。
  3. これから3週間: 復習スケジュールに沿って進め、毎回前の章の内容も混ぜる。

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